ハムスターのくるりんが天に召されてちょうど半年、あとを追うようにパールホワイトのさくらが死んだ。
買いにいった日、ケージに入れた娘の手に鼻をすりよせるくらい人懐っこかったさくら。他のハムスター達より身近な存在だったさくら。このところ体調を崩していたようだったので、遠からずこの日が来る事は予想していた。それでもショックだった。
発見者は娘だったようだ。巣から出て、ケージの中央付近に倒れていたようだ。さくらが死んじゃった!と号泣する娘。
しかしカミサンがさくらの亡骸を手にとると、かすかながらまだ息があるようだ、と電話がきた。
俺は急いで家へと向かった。
さくらが死ぬことはわかりきった現実として目前に存在した。一度は死後硬直並みに硬くなるほど冷えきったさくらの体は、決して元のような元気さを取り戻す事はあるまい。でも、だからこそ最後を看取りたかった。最後になにかしてやりたかった。
さくらの大好物であるりんごを買って、自宅のドアを開けた。さくらは事切れていた。間に合わなかった。少しでもりんごを食べさせたかったのだが、また間に合わなかった。
それでも、間に合わなかったのは俺だけだ。カミサンの手の中で二人に暖められながら、しばらくの間さくらはがんばっていたらしい。結局はそのまま逝ってしまったのだが、最後を看取ってやれた分だけ後悔の念は薄く済んだ。
間に合わなかった俺だけに、べらぼうな後悔が乗っかっているが、そんな事は気にしない。多かれ少なかれ、人は生死に触れながら生きていくしかない。親の死や、友人知人の死であり、出産であり・・・その中のたった一つ、生涯にめぐり合う多くの中のたった一つの死だ。
そう言い聞かせないと、悲しさに押しつぶされそうになる。いつからこんなに「死別」に弱くなったんだろうか。
俺も娘と一緒に、命の尊さを学んでいるらしい。
2年半、いっしょだったさくら。娘ととても仲良しだったさくら。今までありがとう。さようなら。
あの世で、またくるりんと遊んでくれ。